レンタルサーバーとは?仕組み・種類・選び方など

目次

はじめに

ウェブサイトを運営する上で、サーバーの選択は最も重要な課題の一つです。中小企業にとって、レンタルサーバーは手頃な価格で始められるメリットがあり、人気の選択肢となっています。しかし、レンタルサーバーの仕組みや種類、選び方などを十分に理解していないと、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。本記事では、レンタルサーバーについて、初心者の方でも理解しやすいよう、丁寧に解説していきます。

レンタルサーバーとは

定義と特徴

レンタルサーバーとは、サーバー業者が保有するサーバー機器の一部を借り受けて利用するサービスのことです。ユーザーは、物理的なサーバー機器そのものを所有する必要がなく、ウェブサイトの公開に必要な領域を借りるだけで済みます。大手のレンタルサーバー業者が用意したデータセンターに設置された高性能サーバーが利用できるのが特徴です。

メリット

レンタルサーバーの最大のメリットは、初期費用と運用コストが抑えられることです。専用サーバーを購入する必要がないため、月額数千円程度からの低コストで利用開始できます。また、サーバー機器の保守管理はサーバー業者が行うため、ユーザーはウェブサイトの構築やコンテンツ作成に集中できます。さらに、サーバー設定の知識が乏しい初心者でも、サポートに頼りながら比較的簡単にサイトを公開できます。

デメリット

一方で、レンタルサーバーには、サーバーリソース(CPU、メモリ、ディスク容量など)が共有されるというデメリットもあります。同じサーバーを複数のユーザーで使うため、一時的にリソースが枯渇し、ウェブサイトのパフォーマンスが低下する可能性があります。また、セキュリティ面でもリスクが高く、他のユーザーの不備があれば自身のサイトにも影響が及ぶ恐れがあります。さらに、カスタマイズ性にも制限があり、一般的なWebサーバー環境しか用意されていないケースが多いです。

レンタルサーバーの種類

共有レンタルサーバー

共有レンタルサーバーは、1つのサーバー機器を多数のユーザーで共有する形式です。リソースを共有するため、安価で利用できるのがメリットですが、他のユーザーの影響を受けやすく、パフォーマンスが不安定になる可能性があります。主に個人や小規模サイト向けの低価格プランで提供されています。

専有レンタルサーバー

専有レンタルサーバーは、1つのサーバー機器を1ユーザーだけが専有する形式です。サーバーリソースを専有できるため、高いパフォーマンスが望めますが、価格が高額になるデメリットがあります。中規模以上のウェブサイトで、一定のトラフィックが見込まれる場合に適しています。

マネージドレンタルサーバー

マネージドレンタルサーバーは、サーバー業者による運用管理サービスが付帯されたプランです。バックアップやセキュリティ対策、アップデート作業などを代行してくれるため、サーバー運用の知識がない初心者でも安心して利用できます。一方で、料金が高めに設定されているのがデメリットです。

VPSとの違い

VPS(仮想専用サーバー)は、物理的な1台のサーバー機器を仮想化して、複数の論理サーバーに分割して利用するサービスです。VPSはレンタルサーバーよりもリソースの独立性が高く、rootアクセス権限を持っているため、カスタマイズ性に優れています。一方で、運用管理の知識が必要になるなどの違いがあります。

レンタルサーバーの選び方

目的と用途

まずは、ウェブサイトの目的と用途を明確にする必要があります。企業サイトやECサイト、大規模SNSなどの本格的なウェブサービスには、ある程度のスペックが必須となるため、専有レンタルサーバーかVPSを選ぶべきでしょう。一方で、個人ブログやポートフォリオサイトなどの小規模サイトであれば、共有レンタルサーバーで十分な場合が多いです。

必要なスペック

次に、必要なサーバースペックを検討します。ページビューが数千程度の小規模サイトであれば、最低限のスペックで問題ありません。しかし、同時アクセス数が多いサイトや、重たい処理を伴うアプリケーションを動かす場合は、CPU、メモリ、ディスク容量などを十分に確保する必要があります。

サポート体制

自身でサーバー運用を行う技術的な知識がない場合は、サポート体制が整っているサービスを選びましょう。マネージドレンタルサーバーなら、バックアップや障害対応、セキュリティ対策など、運用面でのサポートが期待できます。

価格帯

レンタルサーバーの価格は、共有の低価格プランから専有の高価格プランまで幅広く用意されています。価格に見合ったスペックとサービス内容を比較検討し、事業規模や予算に適した選択をするのがベストです。

レンタルサーバーの仕組み

データセンターとサーバー機器

レンタルサーバー業者は、大規模なデータセンターに高性能のサーバー機器を多数設置しています。これらのサーバー機器が、レンタルサーバーの実体となっています。データセンターは、安全性と信頼性が高い環境が整備されており、24時間365日の運用体制が確保されています。

サーバーリソースの共有

レンタルサーバーでは、1台の物理サーバー上に複数の仮想的な領域を作り、そこにユーザーごとのウェブサイトデータを格納します。この仮想的な領域がユーザーアカウントで、CPU、メモリ、ディスク容量などのサーバーリソースを共有することになります。共有レンタルサーバーでは、多数のユーザーがリソースを共有するため、価格は抑えられますが、パフォーマンスへの影響が避けられません。

ユーザーアカウントとコントロールパネル

ユーザーは自身のアカウントにログインし、ウェブサイトのデータをアップロードしたり、各種設定を行います。操作は、サーバー業者が用意したウェブベースのコントロールパネル上から行われます。コントロールパネルでは、ドメイン設定やメールアカウント管理、データベース操作など、ウェブサイト運営に必要な機能が提供されています。

Webサーバー環境

レンタルサーバー上には、Webサーバー(Apache、Nginx等)、データベースサーバー(MySQL等)、スクリプト実行環境(PHP等)など、一般的なウェブサイト公開に必要な環境が用意されています。ユーザーは、この環境を利用してウェブサイトを構築・公開します。高度な要件が出た場合は、専用サーバーやVPSなどを検討する必要があります。

レンタルサーバーの運用

ドメインとDNS設定

ウェブサイトを公開する際は、ドメイン取得とDNS設定が必須です。レンタルサーバー側の設定と、ドメイン管理側の設定を連携させる必要があります。この作業はややこしく、初心者には難しい場合があるため、サポートにも相談しながら進めましょう。

データ転送とバックアップ

ウェブサイトデータは、通常FTP接続によりレンタルサーバーに転送します。重要なデータはこまめにバックアップを取ることをおすすめします。一部のプランでは自動バックアップ機能が付帯されていますが、より安全性を求める場合は自身でも定期的にバックアップを取りましょう。

セキュリティ対策

サーバー上のウェブサイトデータへの不正アクセスを防ぐため、パスワードの運用や最新のソフトウェアへのアップデート、ウェブアプリケーションの脆弱性対策など、セキュリティ対策が必要になります。マネージドサービスを利用する場合は、業者による対策が施されますが、自身でも十分注意を払う必要があります。

アップデートと保守

レンタルサーバー上のWebサーバーやスクリプト実行環境などは、セキュリティ上の理由から、常に最新の状態に保つ必要があります。共有レンタルサーバーの場合、業者によるアップデートが自動的に行われますが、専有レンタルサーバーではユーザー自身が行わなければなりません。

レンタルサーバーの移行

レンタルサーバー間の移行

ウェブサイトの移行が必要になる場合、慎重な作業が求められます。まず、現在のレンタルサーバーからデータをバックアップし、新しいレンタルサーバーにアップロードします。その後、ドメインの管理画面からDNS設定を変更し、新しいサーバーを指し示すよう設定します。移行作業には少なくとも1日程度の時間が必要となりますので、サービス停止期間を想定する必要があります。

VPSやクラウドへの移行

レンタルサーバーからVPSやクラウドサービスへの移行も可能ですが、より複雑な作業が伴います。VPSやクラウドではサーバー環境のカスタマイズが必要になるため、単にデータを移すだけでは済みません。新しい環境での構築と設定が別途必要となるため、慎重に作業を行いましょう。

移行時の注意点

移行時には、データの紛失やサービス停止など、リスクが高まります。可能な限りテストを重ね、万全の体制で臨むことが重要です。また、ドメインの管理権限を失わないよう注意しましょう。ドメインが他者に移管されてしまうと、最悪の場合でサイトを失う恐れがあります。

その他の選択肢

共有サーバー

共有サーバーは、レンタルサーバーよりもさらに多くのユーザーでサーバーリソースを共有する形式です。非常に低価格で利用できますが、パフォーマンスとセキュリティ面での不安が大きいのがデメリットです。本格的なウェブサイトの運営には向きません。

専用サーバー

専用サーバーは、1台のサーバー機器を1ユーザーだけが専有できるサービスです。レンタルサーバーよりも高価ですが、パフォーマンスとカスタマイズ性に優れています。企業の本格的なウェブシステムなどで、高い運用品質が求められる場合に適しています。

クラウドサービス

AmazonのAWS、MicrosoftのAzureなどのクラウドサービスを利用することも可能です。サーバーリソースの柔軟な増減が可能で、高いスケーラビリティを発揮できるメリットがあります。一方で、サーバー管理の知識が必須で運用が複雑になるというデメリットもあります。

まとめ

レンタルサーバーは、中小企業や個人が手頃な価格でウェブサイトを運営するための有力な選択肢です。共有レンタルサーバー、専有レンタルサーバー、マネージドレンタルサーバーといった種類があり、それぞれの特徴を理解して選ぶことが重要です。適切なサーバーを選ぶことで、初期費用や運用コストを抑えつつ、安定したウェブサイト運営が可能になります。

サーバーの性能、サポート体制、セキュリティ対策などを総合的に検討し、自分のニーズに合ったレンタルサーバーを選びましょう。また、クラウドサービスやVPSなどの他の選択肢も検討することで、将来的な拡張性や運用の柔軟性を確保することができます。

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この記事を書いた人

【略歴】
システム会社に営業として十年程度勤めた後、独立してWeb関連など複数の会社を設立。独学でHTML・CSSを学び自社Webサイトを制作し、実践にてSEOとWebマーケティングの独自ノウハウを得る。十数年の会社経営後、全ての会社を廃業。現在はストーンウェブにて SEO x AI x SNS の事業を展開。
【会員】
全日本SEO協会会員 / SHIFT AI会員 / 生成AI活用普及協会個人会員 / AI Database Newsletter購読
【資格 / 検定 / 修了】
AI For Everyone 修了 / ネットマーケティング検定 / ITパスポート / 初級システムアドミニストレータ 他

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